早く教室に戻らないと、朔が怪しまれてしまう。


怒られる前に返さないと。




「教室戻って。来てくれてありがとう」


「うん。帰り、迎えに行く」


「良いよ。教室戻る。みづきと千里の顔見たいから」




納得してくれたみたいで、口角を上げて頷くと私の髪の毛をくしゃっと崩して、教室に帰っていった。



苦手だった朔とお試しではあるけど、付き合うことになるとは。




餌食にならないと思っていたのに、餌食になってしまった。


好きの手前まで来てしまった。




「好きになるのかな…」