付き合っていたときは車といえばタクシーで、一度も彼の運転で出かけたりはしなかった。免許は持っていても、自分では運転しない人かと勝手に思っていたが、そうではないらしい。

「楽しみです。よろしくお願いします」

 この旅行で、私も知らない彼の一面を見れるかもしれない。

 じゃあ、そろそろと航輝さんが立ち上がったとき、祖母が子どもたちを連れて下りてきた。

「あー、おにーしゃん」

「やあやあ、いい子にしてたかい?」

 航輝さんは大空を抱き上げ、私は翔真を抱いて、そのまま店の外に出る。

「明日、ママとおにいさんの四人でお出かけするんだぞ」

「おでかけ?」

「雪だるま作って、お馬さんを見て」

 ふたりとも興味津々に聞いているが、どこまでわかっているのか。それでも明日彼と一緒にでかけるのは理解したらしい。

 大空も翔真も瞳を輝かせてはしゃいでいる。

 結局航輝さんは持ってきた子どもたちへのお土産を、お預けにせずに済んだが、やはり名残惜しいらしい。