「わかった。おばあちゃんありがとう、私、子どもたちを連れて行ってくるね」

【うんうん。いってらっしゃい】

 ストックルームを出ると、航輝さんはカウンターに座ったまま香水瓶の会計を済ませているところだった。「ありがとう」と必殺の笑顔を向けられて、晴美さんはにこにこと満面の笑みを浮かべている。

 前回来たときに、晴美さんは彼を絶賛していた。今回でさらに好感度は上がったに違いない。

 カウンターに戻ると航輝さんが「おいしいコーヒーだね。香りがすごくいい」と褒めてくれた。

「よかったです」

 密かに仕入れた甲斐があった。うれしくて頬が持ち上がってしまう。

「那須、行きたいです。祖母も了解してくれました」

 さっそくお願いすると、彼はうれしそうに白い歯を見せる。

「よーし。じゃあ車で迎えに来るね」

「車? 航輝さんが運転するんですか?」

「うん。飛行機だけじゃなくて車も運転できるんだよ」

 自慢げに親指を立てたりするから、あははと笑ってしまう。