【はーい。なにかあった?】

「あのね。今航輝さんが来ていて。――明日一泊で子どもたちも一緒に、那須の別荘に行かないかって誘われたの」

【あら!、よかったじゃない】

 明るい声に、早くも背中を押されたような気がした。

「お店、大丈夫?」

【全然大丈夫。おじいちゃんもいるんだし】

「おばあちゃん。でも、いいのかな……、私まだ、答えを出せていないの。それに子どもたちになにかあったらって、心配で」

【答えを出すためにも、なるべく一緒にいた方がいい。神城さんに、あの子たちのそのまんまの姿をよく見てもらって、具合が悪くなったらふたりで考えればいいのよ? 茉莉、行ってらっしゃい】

 ふたりで、考える。――そうか、そうだよね、航輝さんは父親なんだもの。

 いいのかな、と心が動く。

 少しでも祖母の声に反対の色があったら断るつもりでいたが、終始明るい声だった。

 おかげで私も腹が決まった。

 行ってみよう、那須へ。