でも、移動中子どもたちがぐずったらどうしようとか、知らない土地でなにか子どもたちが具合が悪くなったらとか考えると、やはり高いハードルだ。

 乗り越えたら楽園があるとしても不安が大きい。

「どう? 泊まりはまだ心配? できる限りの準備は怠らないよ?」

 航輝さんは窺うように私を見る。

 どうしよう。明日となるとすぐに決めなきゃいけないが、だからといって即答はできない。

 でも、今を逃したら、二度と行けないような気もする。

 指輪の返事を断ってしまったらもちろん行けないし、関係をはっきりする前の今だからこそ、なにも考えずに行ってもいいのかもと思う。

「あの、祖母と相談してもいいですか?」

 あさってはお店が休みだが、明日は開店している。通販サイトのチェックは出先でもできるとはいえ気がかりだ。

「休みとはいえお店の都合もあるので」

「もちろん」

 サイフォンでコーヒーを落とし、航輝さんにコーヒーを出して、ストックルームに行き祖母に電話をかけた。