できればこの機会にパパとの思い出を作ってあげたかったけれど、彼だってそうそう暇じゃないだろうし。残念な反面ホッとする自分もいる。万が一にも二週間ずっと一緒にいるとなったら、それはそれでつらい。

 二週間後の寂しさまで、つい考えてしまう。

「ちなみに君の休みはいつ?」

「明日とあさってです。その次は一週間後の火曜と水曜」

 休みは航輝さんの帰国に合わせた。まさか今日来るとは思わなかったから。

 きっと休みのうちには子どもたちにも会いに来てくれるだろうし。こうして会えただけよかったと、満足しながらミルのスイッチを押す。

 ガガガと音を立てるミルからコーヒーのいい香りがしてくる。

「じゃあ一泊で出かけようよ」

 え、今なんて?

 ハッとして彼を見ると「那須に別荘があるんだ」と言う。

 ミルの音にかき消され聴き間違えたかと思ったが、そうではないようだ。

「那須って、栃木の?」

「そうそう」