子どもたちに対しても同じだ。自分の子どもとして受け入れるというわりには、彼は大空や翔真に会おうともしなかった。

 どこかそらぞらしく、言葉と行動に違和感を感じたのはそのせいだ。

 航輝さんとの再会がなければ、もしかしたら本気で大福さんとの結婚を考えたかもしれないが、おそらくうまくいかなかったと思う。

「ごちそうさまでした」とお客様が席を立つ。

「とても美味しかったです。コーヒーだけでも飲みに寄らせてもらうわね」

 コーヒーを飲みにくるお客様は貴重だ。毎回とはいわずとも、なにかの折りになにかしら買ってくれる。

「ありがとうございます」と丁寧にお礼を述べてお見送りする。

 接客が済んだところで航輝さんを振り返ると、彼はクリスマスグッズを手に取っていた。

あと二週間でクリスマスがくる。

「オーナメント、飾るんですか?」

 近寄って声をかけると、彼は「今年はね」と意味ありげな笑顔を向ける。

 もしかして子どもたちと一緒にクリスマスパーティとか考えている?