映像には捏造した婚約指輪の話も入っているはず。三年前の嘘も、グラスを投げつける行為も、私を殴ろうとしたこともすべて、彼女自身の首を絞めるだろう。

「愛されてるなぁ、茉莉」

 紗空はいたずらっぽく、フフフと笑う。

「神城さん、出発前に燎さんに電話をかけてきて、私にも茉莉をどうかよろしくって」

「ありがと」

 お互いに笑い合い、紗空は自宅用だというクリスマスのリースと飾りと買って帰った。

 次の日、予定通り大福さんからも電話があって、私は縁談を断った。

 理由はと聞かれ、子どもたちに嘘はつきたくないので、と答えた。大福さんはわかりましたと静かにに電話を切った。



 そして迎えた航輝さんが帰国する日。

 店の前を掃除して、空を見上げる。飛行機は飛んでいないが、晴れ渡る青い空が広がっていた。

「茉莉」

 ハッとして振り向くと航輝さんがいた。

「ただいま」

 にっこりと微笑む彼に「お帰りなさい」と笑顔で答える。

「てっきり明日来るんだとばっかり思っていました」