急いでレジに行き、代金の十五万を取り彼女のもとへ向かう。

そして、彼女の手に代金を掴ませた。

「お代は結構です。ですが、もし次にこのようなことがあれば警察を呼びます」

「はぁ? 何様のつもりよ!」

 彼女が鬼に形相でその手を振り上げた。

 あ、殴られると思い、とっさに目をつぶる。

「麗華、そのへんにしておけ」

 ハッとして顔を上げると、背の高い男性がいた。彼女が振り上げた腕を掴んだ男性は、そう紗空の夫、燎さんだ。

 あっ、紗空。

 いつの間にいたのか警備員の制服を着た男性数人もいて、その後ろから顔を青くして駆け寄ってきた紗空は、「もう大丈夫よ」と私を抱きしめる。

「航輝から彼女を守るように頼まれていてな。よからぬ考えは捨てたほうが身のためだぞ。神城家を本気で怒らせる気か?」

 彼女は掴まれた腕を振り解く。

「わ、私はただ――、私は買ったんだもの、お金を返そうと、しただけで」

「そうか」

 燎さんは彼女から代金を受け取ると私に差し出す。