悲しいかな私は中学高校と義父やおばあさまの冷たい仕打ちを受けてきた。散々苦労をしてきたせいで、傷つけようとしてくる悪意には慣れている。

 そして、嘘を見抜く術を身につけた。

 おばあさまには散々嘘をつかれ、幼かった妹たちのいたずらを私のせいにされて、義父に叱られるのも日常茶飯事だったから。

 陥れるための嘘をつく人は、意地の悪い表情をするのだと知っている。

 目の前にいる彼女のように。

 三年前は気持ちに余裕がなくて見抜けなかったが、今は違う。私はもう騙されない。

 私がなにも言わないのをどう思ったのか。カフェオレをひと口飲んだ彼女は、首を傾げて「あなた、それで満足?」と言う。

 そこで、晴美さんが商品を紙袋に入れて持ってきた。

 彼女は航輝さんのように晴美さんに黒いクレジットカードを渡すと、紙袋の中を取り出す。

 包装を開け、彼女はグラスをしげしげと見つめた。

「ちっともおしゃれじゃないグラスね。どこがいいのか、さっぱりわからないわ」