「よいしょ。よいしょ」と、掛け声をかけながら階段を登り、部屋に戻る。

「じゃあ、おやつ食べよっか。なにがいい?」

「ん……」と、大空も翔真もしょんぼりとうなだれた。

 だめだ。一応返事はするものの覇気がない。

 こんなときはとテレビをつけて、子どもたちが好きなビデオを流す。

「ホットケーキ作るから、待っててね」

 一晩寝て明日になれば、きっと日常が戻るはず。

 飛行機の形のホットケーキでなんとかなだめて、ご機嫌が少しだけ直ってきたところで私は午後の店番に出た。

 空を見上げれば、みごとな曇天。まるで気持ちを反映するように、どんよりとして寒々しい。

 お客様の入りも悪く、私はいつものようにカウンターの中で通販サイトをチェックを始めるも、忙しければなにも考えずに済むのに、通販サイトも今日は売れていない。

 開けたばかりのノートパソコンを閉じた。

『五日後にまた来る。今度は二週間あるからゆっくり話をしよう』

 夕べ彼がそう言った。

 否を唱えることはできなかった。