と言ってもふたりで会ったわけじゃない。実家に帰ったら彼女が彼女の母親と一瞬にいただけだ。

「注文を済ませよう」

「ええ、そうね」

 彼女が好きなように任せる。

「ワインを頼んでもいい?」

「どうぞ」

 メインは魚介類のソテーというコース料理を食べながら、しばらくは麗華の話を聞いた。

 彼女は働かない理由も習い事が続かない理由もすべて、身体が弱いからというが、病名があるわけじゃない。人に合わせることができないからだ。

 今も一方的に話をしている。

「――それでね、友だちと一緒にそのお店に行ったんだけど」

 デザートまで進んだところで、永遠に続きそうな彼女の話を遮った。

「麗華。今日誘った理由なんだが」

「えっ、ああ、ごめんなさい。私ったらしゃべりすぎちゃったわね」

 単刀直入に切り出した。

「はっきりしたいんだ」

 彼女にとっていい話ではないと察したらしい、にこにこと笑っていた頬に緊張が走る。