すぐさまピッチとパワーを足す。速度をチェックしながら沈みが止まるのを待ち、ピッチとパワーを微調整しながらランディングに入る。

 

 ゆっくりと滑走路を出て、指定された駐機場へ向かう。

 ホッとしたところで、機長が「ナイスランディング」と笑った。

「君の予想通りだったな」

「ええ。備えておいてよかったです」

 南から前線を伴った低気圧が接近している。天気図では問題なかったが、影響があるかもしれないとランディング・ブリーフィングで伝えていた。とはいえ、風が回ってこない可能性も高い。滑走路の長さと示し合わせギリギリの選択だった。

「君が指摘しなければ、君には任せなかったよ」

 機長はにやりと口角を上げる。

「わかってはいても瞬時に対応するのは難しい。さすがだよ神城」

「ありがとうございます」



  機長と別れ、すぐ麗華に電話をかけた。

 さあ、ひとつひとつ片付けよう。

「話がある。ちょっと会えないか?」

 待ち合わせの場所を指定しただけで電話を切る。