「二学期より寒いね」

「そりゃあ…まだまだ冬だからね」

「なんか懐かしくない?うちらさ、感情荒ぶり過ぎてて、思い出したらなんかもう笑っちゃうよね」

「私はあの日こころちゃんに連れ出されて殺されちゃうかもって思ってた」

「はぁ?」

「ここから突き落とされるのかなって」

「なんで嫌いな奴のために人殺しになんなきゃいけないのよ」

「ん…そうだね。ねぇ、なんでそんな普通に喋れんの?」

「普通?普通じゃないよ」

「だってめっちゃ喋るじゃん。前よりずっと…。もうこころちゃんとはこんな風に話したりしないって思ってたし」

「だから普通じゃないんだって。やーっと茅野さんの周りが壊れてくれて興奮してんだからっ!」

「は………」

「………あはは。嘘だよ、嘘。ほんとーに嘘。なんか、イライラしてる。自分が招いたことなのに。なんでかなぁ?なんかイライラすんだよね」

こころちゃんが「さっむ」って震えながら羽織っているカーディガンを手繰り寄せる。

私とこころちゃんが吐き出す白い息が空に吸い込まれていく。

あの日の私達の喧嘩はまったく無意味で、
私もこころちゃんも恋は失くしている。

また同じようにここで争ったとしても、迎えに来てくれる人はいない。