頬に指先の感触がした。

「恋に執着するために大切な人を利用したりしない」

その言葉は決定的だった。

私が壊してしまった物がなんだったのか。

私の、かっちゃんの中の存在がなんだったのか。

「私は…もう………」

「結芽と違って大切な人間は利用できない。俺はずるいみたいだからさ?恋も親友も守りたいんだよね?だから、大切じゃないなら平気で利用できる人間だったみたい」

私のことは大切じゃない。
もうずっと、大切じゃなかった。

大好きで、この人じゃなきゃだめだと思っていた人の邪魔者でしかなかった。

「お前が怜にしたことも、こころを追い詰めたことも、あいつらの分まで同じやり方で復讐してやろうと思ったけどさ」

私が後悔しなきゃいけないのはゆうれいを利用したところからじゃない。
たぶん、きっと…。

「復讐って全然おもしろくねーな。結芽、」

「かっちゃん…私…」

「俺ら、中学で離れてればよかったのにな」

「私はっ…かっちゃんと一緒に居たかったから…。離れるなんて考えられなかった」

「離れたほうがよかったんだよ。そしたら結芽のこと、ずっと大切にできてたのに」