ガンッ…てこぶしで殴られたテーブルが傾いて、キャンドルが倒れた。

転がり落ちたキャンドルをかっちゃんは気にも留めなかった。

「なんで…本気になっちゃうようなこと言わなくてもいいじゃんっ…」

「お前の思考ってほんとおめでたいな?あんなことしといて本気で好きになってもらえるとでも思ってた?」

「心底私が憎かったのならこんなことしなくても最初から許したふりなんかしなきゃよかった!」

「結芽が怜にしてきたのはそういうことだろ?」

「え………」

「そうやって怜の感情を搾取してきたんだろ!?本当に好きな奴を忘れるためならそういうことしたって許されるんだってお前が俺に教えてくれたくせに」

「それは…」

「否定できないよな?怜のこともこころのことも壊したのはお前だ」

「こころちゃんがゆうれいを好きなことなんて知らなかった!こころちゃんがかっちゃんを好きにならなかったことまで私のせいなの!?かっちゃんとの関係を壊したのはこころちゃんじゃん!」

「お前が怜をあんな風に扱ったりしなけりゃとっくにお前から離れられたかもしれないのに。そしたらこころだってさっさと怜のとこにいけたかもしれないだろ」

かっちゃんが握りしめたフォークでサクッとケーキの中心を刺した。

中から覗いた真っ赤ないちご。
心の中に流れる悲痛な血みたいだった。