その日はもちろん、じょうずに寝付くことができなかった。

目をつむってもみんなの顔がチラついて落ち着かない。

なのに感情の一番正直なところが「うれしい」って疼いている。

かっちゃんの一番になれたんだ。
私からかっちゃんへの償いのためだとしても。

私はゆうれいのことを利用したけれど、嘘でも恋人同士にはならなかった。

あんなことをするくらいなら彼女になっていればゆうれいも幸せを感じていられたのかな…。

スマホにメッセージが届く。
かっちゃんからの「おやすみ」の文字。
私にだけ向けられた内緒の言葉。

こんなの知っちゃったらもう戻れなくなっちゃうよ。

翌日。
登校した私に「おはよ」って言いながらかっちゃんが指をキュッと握った。

「バレちゃうよっ…」

「ごめん。慌てる結芽の顔が見たくって」

「なんで!?」

「結芽にこういうことしたことないじゃん。どんな顔すんのかなって」

「っ…!かっちゃんってそんなにドSだったっけ?」

「そうかもね。知らなかった?」

そんなの知ってるわけないじゃん。
こころちゃんの前ではどんな感じだったんだろう。
かっちゃんのほうが大好き!って感じだったからドSな部分なんて見せてなかった気がする。

こんな一面も私だから見せてくれるの?
あぁ、なんてチョロい女なんだろ…。