「結芽」

「え」

「後悔してるのって罪悪感だけ?」

「えっと…」

「結芽の話をちゃんと聞いてあげなくてはぐらかしてきた俺にも責任はある。俺と結芽が仲直りしてさ、前みたいに親友に戻れたらうれしい?」

「そんなのっ…当たり前じゃん!かっちゃんを失くしてしまうことがどんなに怖かったか…。でもゆうれいを立ち直れないくらい傷つけてニカの信用も失くして、こころちゃんの大切だった恋も壊してた。自分だけそんなずるいこと…」

「ここからはもう本人達の自由だって言い切るくらいはずるくなってもいいんじゃない?」

「なに言って…」

「ずっとそうやって罪の意識だけ抱えて一人で生きていくの?」

「私には幸せになる資格無い…」

「ふはっ…そんな壮大な罰、誰に与えさせるんだよ。そんなさ、人ひとりの責任、誰も背負いたくないよ。…いや怜は背負いたいかもな」

ニッてかっちゃんがいたずらっ子みたいな顔で笑う。

「そんな都合のいいこと…」

「まだ高校生だぜ、俺ら。大人になってもずーっと結芽がこのままで生きてたらさすがに重いって。…って、俺も思うことにしたんだ」

「かっちゃんも?」

「俺だって一回の大失恋でこれから先の全てを壊せるほど強くないからね。取り戻せるものは取り戻したい。ずるくても。そう思ったときにさ、やっぱ結芽と過ごしてきた時間は切り離せなかったんだよ」

「かっちゃん…」

「結芽は、どう?」

「そんなの…」

「親友に戻る?」

かっちゃんの顔を見ていたら我慢していた涙が溢れ出してくる。
今日はあんまりアイメイクしてなくて良かったって思った。