「結芽、今日って暇?」

帰りのホームルームがもうすぐ始まろうとしていた。

かっちゃんの席の周りからやっと女子達がいなくなって、私が自分の席に戻ってきたときだった。

「えっ…今日?今日は…もちろん、暇だけど…」

「もちろんってなんだよ。あ、遊んでくれる友達いないってこと?」

「なっ…いじわる!」

かっちゃんがニッて笑った。

なに、?どういうこと…。
かっちゃんが私に話しかけてきて、しかも笑ってる。

何が起こってるの!?

「俺んち来ない?」

「………は」

「ごめん、聞こえなかった?」

「え、いやごめん。………え?行き…ます…?」

「よかった」

担任の先生が教室に入ってきた。
私のほうに顔を向けていたかっちゃんは黒板のほうに向き直った。

何がなんだか分かんなくてそっとゆうれいのほうを見てしまった。

こっちを見ていたゆうれいと、こころちゃんと目が合ってパッと逸らしてしまった。

ゆうれいは無表情で、
こころちゃんはちょっとだけ笑っているように見えた。