「これからも変わらない?」

「変わらない」

「一緒には居られない?」

「ムリだよ」

「俺のこと、嫌い?」

「だい………大好きだよ…」

「嫌いって言えよ!!!」

腕にゆうれいの爪が食い込む。
この痛みのせいにすれば泣けるのに。

ゆうれいが泣かないから、私は泣けない。

「大嫌いって言えよ!散々なこと言っといて情けなんかかけんな!ほんとに…マジでなんなんだよお前…なんで離れらんなくすんだよ…嫌いだ…お前なんか大嫌いだ!!!もう絶対にお前なんか好きじゃない…絶対に…」

「ごめん…ごめんなさい…本当にごめんね………ありがとう」

ゆうれいの手をそっとほどいた。

人形に腕がぶらさがってるだけみたいに力なくぶらん、と揺れた。

歩き出してもゆうれいはもう何も言わなかった。
バス停までの道を無理矢理にでもついてこないのは初めてだった。

ゆうれいがこっちを見ているのか、
もしかしたらもう居ないかもしれない。

振り向けなかった。
一人で歩き出してやっと、私は権利なんかないのに泣いた。