地面にしゃがみ込んだまま、こころちゃんは声をあげて泣いた。

通り過ぎる人達が怪訝そうに私達を見ていった。

「市原さんは私が送ってくから…。とりあえず二人も、もう帰りな」

「でも…」

「結芽。もういいから。これ以上はもう無いでしょ?」

「もういいって…」

「これから先は結芽が自分で考えてどうにかするんだよ。あんたがしてきたことは間違ってる。親友として、こんなこと繰り返して欲しくないから。ちゃんと考えな」

「ニカ…」

「市原さん、立てる?」

ニカが無理矢理でも市原さんを立ち上がらせて、腰を支えるようにして、歩き出した。

こころちゃんはもう何も言わなかった。

「ゆめ」

「ごめん…行くね…」

「送ってくよ!」

「だめだよ。ゆうれい…もうだめだから。バイバイ」

「なに…そのバイバイって、また明日って意味だよな?」

「ゆうれい…。お願い、分かって…。もうだめなんだよ私達っ…!」

白黒はっきりさせる言葉を告げないまま、
ゆうれいに背を向けた。

どれだけの言葉を並べてもゆうれいはきっと私を引き止めてくれるんだろう。

最低でもクズでも救いようがなくても、ゆうれいは私を離さないでいてくれる。

だからこそこれ以上言葉を並べ立てることは無意味だった。

無理矢理にでもゆうれいを私から引き剥がさなきゃ…。
大好きだけど、今までありがとうって言いたいけれど、
私はもう誰かの愛情を与えてもらえるような人間じゃない。