「私は柳くんだけになれるのに?」

「ゆめが一生、俺以外の人しか好きにならないんだとしても、俺はゆめじゃなきゃだめなんだよ」

「なんで!?全然意味分かんないよ!こんな最低な女のどこがいいのよっ…」

「市原さん」

「なに…」

「ゆめに俺を利用するように強要したのは俺だよ。だから最低なのは俺もだから。そういうことしてた俺のこと、市原さんはそれでもこんなに好きでいてくれたんでしょ?それとおんなじなんだ。ゆめがどんな人間になったって俺はゆめだけ居てくれたら幸せだったんだ…」

「バカみたい…おかしいよ…どいつもこいつも!」

「ごめんね。頭でしか理解してあげられない。感情ではどうしても…だめなんだ。ごめん」

私に泣く資格なんかない。
それなのに頬を伝って、いくつもいくつも涙が流れ落ちた。

ゆうれいの気持ちが痛い。

こころちゃんをこんな風にしてしまったのはきっと私だ。

かっちゃんにただ好きだって言うこともできなくて、
ゆうれいにすがって、失恋に平気になれるふりをした。

ニカを欺いて、
かっちゃんが大切に思っていた親友を傷つけて。

最初から自分できちんとけじめをつけていれば
こころちゃんは天使のままでいられたかもしれないのに。