「キスは嫌そうじゃなかった。そうだよな。何か理由があって突き飛ばしたんだろ?俺が嫌いだからじゃないって言ったのは嘘か?」

 私は被りを振って答えた。

「私、男性とつきあうなら……言わないといけないことがあるんです。それに、それを聞いたら並木さんは嫌になるかもしれません」

「嫌になんてならないよ」

「何も聞いてないから言えるんです……」

「隠していることはいずれゆっくり教えてもらう。それに……俺だってまだ話していないこともある、お互い様だから心配すんな。急ぎすぎてることくらいはわかってるんだ」

「……」