「並木さん……」

 嬉しかった。私も同じ気持ちだった。きっと心の距離の縮まり方が一緒だったと思う。そのくらい通じるものがあった。でも……。

「ありがとうございます。でも、私きっと……無理なんです」

「何が無理なんだ?俺のことがそういう対象に思えないってことか?」

「それは……そんなことありません。嬉しかったです、並木さんからそんな風に言われるなんて夢みたいです」

「じゃあ、なんで無理?全部受け止めてやるから言えよ」

 彼は私の両肩をもって揺さぶった。私が下を向いているのを見て、顎を捉え正面から涙目になっている私を見た。