店を出ると終電はなかった。
タクシー乗り場に行こうとした私の腕を彼が引いた。引っ張られて、細い通りの壁際に両腕で縫い付けられた。
「川村」
「え?どうしたんですか?」
自分の気持ちに少し気づいていた私は、彼の様子が変わってから怖くなり、逃げるようにお酒を飲んでしまい、少し酔っていた。つい彼をじいっと見つめてしまった。
「ごめん、時間をかけようと思ってたけど、やっぱりやめる。俺は君を他の男にとられるのは嫌だ。自分だけのものにしたい。川村、よかったら俺と付き合ってくれないか?」
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