「なんでもないよ、さあ、飲もう」

 彼がグラスをとって、私のグラスにカチンと当てて飲んだ。私も気になっていたことを思い切って聞いた。

「並木さんこそ、こんなにイケメンで会社でも人気なのにどうしておひとりなんです?相川君よりもモテると思うんですけど」

「相川と比べられてもな。まあ、あいつは確かにすごい人気だぞ。俺も驚いた。俺はそこまでではない。歳もいってるしな」

「そうですか?私から見たら並木さんのほうがずっと……あ……」

 口に手を当て黙った私を並木さんが振り向いた。

「ずっと……なんだ?」

「ずっと大人に見えます。って当たり前ですよね。相川君は同期なんだから……」