「凛花。手術したんだから重いものを持つなって言っただろ」
「あ、そうだった。全然痛みがないから左だって忘れてた」
彼は私から荷物を横取りすると、にらんだ。
「凛花。いいか、身体を大切にしろ。心配で俺はもう……」
「もう、信也さんったら昔のママみたい。あんまり言うと、私、家出しちゃうからね」
「家出?お前が行くところに俺も家出するからな。どこでもついていくから、いつでも出てけ」
「なにそれ?」
「だって、凛花のいるところが俺の家だ。凛花が出て行ったところはもう俺の家じゃない。まあ、いいよ。何回出て行ってもついていくから……」
「……」