「川村、あの人に会う前から惹かれていたんだな。そうだろ?思慮深いお前がその場で頷くはずがない」

「そうだね。会う前から気が合うのはわかってた。でも会ったらもっと気持ちが止められなくなった。同じ思いだって話してすぐにわかった。でもね、でも、傷のことを話す勇気がなかった。傷物の私は、いずれ知られたらフラれるって思ってたの」

「それでどうして付き合うことになったんだ?」

「秘密はいつか凛花から話したくなる時が来るって言われた。俺が欲しければ、いつか君から話してくれるはずだって言ったの」

 恥ずかしかったが思い切って言った。真っ赤になってしまった。加菜も赤くなってつぶやいた。

「……すごいね、並木さんって大人の男って感じ……」

 私は加菜に頷いた。