私は彼の顔を思い出すためにじいっと見た。

「私……」

 彼は顔をくしゃくしゃにして、私の手を握った。

「事故の前、工場に電話したんだぞ。凛花は大丈夫だと俺に言った。何が大丈夫だ、やはり一緒に辞めていれば……君をこんな目にあわせず済んだのに、俺は大馬鹿だ!君を一か月も工場に行かせていて知らなかったなんて……」

 声が震えている。辛そうにしている……目に涙を溜めてる。

 どうしたらいいの、かわいそう。もしかして私の為に泣いてる?彼は顔を布団につけてしまった。

 背中を丸めている。この姿を見たことがある。以前も何かでこうやって私の前で背中を丸めて辛そうに話していた。

 あの時、私はどうしたんだっけ?そうだ……思い出した。こうやってあげたんだ。