それは押し花がラミネートされた栞だった。
彼の顔を見つめると、彼はゆっくりと言った。
「凛花の手作りの押し花だよ。マーガレットだ。それをしおりにしてほしいって頼んだら作ってくれたんだ。俺の宝物だ。いつも財布に入れて持ち歩いてる」
「押し……花……」
「そう。押し花作りは凛花の趣味だ。チェストの上にきちんと額へ入ったのがたくさん飾ってあるだろ」
押し花……。確かに懐かしい。見たことがある。思い出せそうな気がする。じっと見つめた。すると、なぜか声が聞こえた。
「花瓶の花を指さして……押し花にするならって……」
「そうだ、その通り。それが俺だよ。思い出してきたな」