「凛花!頭が痛いの?すぐに先生を呼んでくるわ……すみませんが、凛花は頭も打ったらしくて記憶が一部抜けて混乱しているんです。刺激しないでください」
彼は膝をついて私の頬に震える手で触れた。
「凛花……どうしてだ?どうしてこんなことになった」
母は私しか眼中にない彼を見て、諦めたのか急いで部屋を後にした。
「俺がわからないのか?」
こくんと頷いた私を見て、彼は私の手を握った。
「信也だ。お前の彼氏だ。凛花、大丈夫だ、絶対に思いだす。俺が側にいるから……」
彼はポケットから財布を取り出し、私の手を引くと何かを乗せた。