何か大切なことを忘れているような気がした。彼は……だれだっけ。

「凛花、どうしてこんなことに……高いところから落ちたと言うのは本当か?俺がわかるか?」
 
 側に来て矢継ぎ早に質問攻めにされた。すると後ろから母が入ってきた。

「失礼ですが、あなたはどなたですか?」

 驚いた彼は身体を後ろに向けて、挨拶した。

「初めてお目にかかります。並木と申します。凛花さんとは以前同じ会社にいました。現在は交際させていただいています」

「交際?凛花が男性と交際していたの?そんなこと……」

 交際……。並木さん……。私は頭を抑えた。