しばらくして、ノックの音がした。すごい勢いで部屋に入ってきた若い男女の二人組。なんだかふたりとも見たことあるような気がした。女性が駆けよってきた。

「凛花、大丈夫?わかる?」

 私は茫然として泣きそうな彼女を見た。知ってるような気がする。ええっと……。何も言えずにいる私を見て、彼女はもどかしそうに口を開いた。

「やっぱりわからないんだ……。凛花、加菜だよ。同期で親友の加菜だよ」

「……か……な……」

「うん、そう。加菜だよ。なんで怪我なんて……だから工場へ異動を反対したんだよ」

 うしろからカッコいい男の人が私を見て涙目になっている。えっと、この人も見たことがあるけど……。