二人で歩きながら、大きな流木の上に座った。

 信也さんは今北野さんの取引のある部署にいる。知っているかもしれないと思い話しかけた。

「北野さんの結婚の話、少し聞いたんですけどお相手は再婚の人で、彼女最後まで拒んでいたそうです。少しかわいそうになっちゃった。うちの会社にいたのも、ご実家のためでご本人はいたくなかったんじゃないかなと初めて思いました」

「まあ……そうだな。菫化粧品の社長は結構な歳だ。40歳過ぎてる。それに、あの社長は浮名を流すことが多くてね。顔はそこそこいけてるが、女泣かせらしい。浮気が原因ですでにバツ1なんだよ」

「……!」

 声も出ないくらい驚いた。それはひどい。初婚の若い子をそんな男に嫁がせる親って、何なの!