私は逃げることをあきらめた。 それにこの人が好きなのは自分で嫌というほど認識して、昨日の夜ずいぶん悩んだのだから。 「並木さんとお付き合いしたいです」 「やったー!あー、これでひと安心」 「なんですか、それ。やっぱり、なんか違う?」 「言っただろ、お前を他の奴に渡したくないの。俺達の距離は徐々に近づいていけばいい。秘密もそう。じゃあ、凛花」 「……え!?」 突然の名前呼びに驚いた。彼は電話口でクククッと笑っている。