「……」



一人残された部屋。

橙華は昔からああではなかった。

人に怯え、私を嫌悪していなかった。

橙華がああなってしまったのは、他の誰でもない、私のせい。

橙華は昔から、私の大事な妹だった。

いつだって、いろんなことで競い合い、褒め合ってきた。


『やった〜! 今回はお姉ちゃんに勝った〜!』

『次は負けないからね〜!』


成績、スポーツでもなんでも張り合い、自他ともに認める仲良し姉妹だった。

でも、それを許さないのが───。

両親だった。

この家は業績がだんだんと下がってきていて、危ない局面にいた。

そんな状況に生まれてしまったのは、私と橙華という双子だった。

そんな二人しかいない、跡取り。

なんとしてでも、優秀な子に育てたかったんだろう。


『橙華! また蓬に負けたの!? 夕ご飯抜きですからね!』

『蓬! どうしてシュートを打たなかった!? あれで入れていれば勝っていたんだぞ!』