「すごいな九条、また学年トップだ。中等部から首席なんて、先生は鼻が高い」

「……ありがとうございます」



休み時間中、担任の先生に声をかけられた。

ちょうど廊下を歩いているときにかけられ、足を止めた。

この前の定期試験で、私は首席になった。



「九条、身体は大丈夫か? 無理はするなよ?」

「……ご心配、ありがとうございます」



私にはもう、そんなことを心配する気持ちなんて残っていない。



「なあ九条、橙華はまだ来ないのか?」

「……橙華、ですか」



まさか、その話が飛んでくるとは思っていなかった。



「そろそろ来てくれないと、評価も付けられないしなぁ……」

「……橙華は家で勉強し、ちゃんとテストも受けているはずです。姉の私が証言します」



お願いします、と頭を下げた。

先生も、私が頭を下げると思ってもみなかっただろう。

中学から首席を誇っている私。

そんな私から頭を下げられれば、この学園の権力を持っている上位の先生以外は文句を言えない。

それを見通して言葉を紡ぐ。