「お父様、私が……大学部に入るまでに素敵な殿方を見つけるので、どうかまだ……」

「わかっている。蓬、お前には期待している」



まだ、政略結婚を考えないで欲しい。

私が恋愛結婚できないとなれば、政略結婚を受けるのは確実に橙華。

なぜなら、私は財閥界隈では有名だから。

両親と一緒に食事会に行き、顔を見せているから。

そんな有名であり、聖フェリシテ学園の首席を誇っている娘が軽蔑されている政略結婚をしたとなれば、九条家にとって大損害をもたらすだろう。

私はそれが“復讐”になると思っているが、それは橙華の将来に関わる。

なら、私は嫌な恋愛結婚でもなんでもしてやる。



「橙華、お前はまた学校に行っていないのか」

「……」



話が振られた当の本人は、無視して黙々と食べ進めていた。

そんな橙華を見て、父親はため息をついた。



「はぁ……いい加減にしろ。蓬を見習え。誰が高い学費を払って聖フェリシテ学園に通わせてやってると思っているんだ!!」

「……」