『橙華!!』


壊れたのは、1時間後くらい。

ボロボロだったから、壊れやすかった。

長時間殴り続けていたせいで、手には血が滲んでいた。

そのまま橙華に抱きつこうと思ったら。


『アンタとなんか、この家に生まれてきたくなかった』


恨み、憎み、嫉妬……全てが混ざったような瞳を向けられ、そう言われた。

私は、その場に崩れた。

そんな私を放って、橙華は倉庫から出ていってしまった。

私は、自分のことを殺したくなった。

守れなかった。姉として、守れなかった。

なんなら、橙華を、傷つけてしまった。

そのあとのことは、よく覚えていない。

たしか、和葉が走ってきて……。


『蓬様、何してるんです! ゆ、指……これ』


怯えた目をした和葉の視線の先には、青紫に変わった私の指3本が。

ぼうっとしている頭で、折れているんだな、と他人事のように思った。

そのあと、橙華は私と目も合わせないどころか、学校に行かず、不登校になってしまった。