しかし、母親は。


『蓬、何してるの!? あなたまでそんな馬鹿みたいなことして! 橙華の仕業!?』


私が独断でしたことなのに、橙華が。


『出して! お母様、出してぇぇ!!』


暗い暗い、倉庫に押し込められた。

ボロボロで、雨漏りさえする倉庫に。

裸足のまま、真冬に、薄着で。

そのとき私は、倉庫に張り付いた。

なんとしてでも、開けようと。


『橙華! 待ってて、お母様を呼んでくる! 絶対出してもらうから!』

『っ、グスッ……うぅっ……』


ただ、橙華の痛々しい声が響いた。

そして、何をしても開けてくれなかった親たち。

私は、全力が土下座し、頭を擦り付けてお願いした。


『お父様、お母様!! やるなら私が倉庫に入ります! 1週間でも、1ヶ月間でも!』

『蓬、橙華を罰しなきゃ意味がない。あとで使用人に鍵を渡す』

『お父様、お母様、待って!!』


私の声も届かず、両親は去った。

そのあと、どうしたのかはあまり覚えていない。

ただずっと、物と拳で鍵を壊し続けた。