「あはは……、なんか目が痛くって」
私はなんとかその場を誤魔化そうと、奥森くんに無茶な嘘をついた。
すると、子供をあやすように、よしよしと背中を撫でてくれる奥森くん。
「こっち向いて、佳乃愛さん」
「……うぇ?」
私は、涙で曇った丸メガネを外しながら、奥森くんを見る。
「俺は、好きな女の子には1番に幸せになって欲しい。たとえ、隣にいるのが俺じゃなくても」
「ち、ちがう! 私は奥森くんのこと好きだよ!?」
「佳乃愛さんが俺に対する『好き』は、マンガオタクで友達だからの意味。ーー“恋”じゃないんだよ」
「……っ、わ、私」
「大丈夫、分かってる。忘れなれないんでしょ、神谷のことが」
「……っ」
「俺、エスパーだからさ。佳乃愛さんの気持ちは何でも読み取れちゃうんだよね」
「えっ!? 本当!!?」
私はびっくりして、身を乗り出すと。
「いや、嘘」
奥森くんは、あっさりと否定して、クスクス笑っていた。