私は、ぎゅうっと胸が締め付けられる思いでいっぱいだった。
3年間もずっと私に片思いし続けてくれてたなんて。
私の事、そんな風にずっと大切に思ってくれたなんて。
この先、こんなに私のことが好きだって言ってくれる人は他にはいないーー。
けど……、ふと途中で神谷くんの顔が思い浮かぶ。
いやいや……、ここに来て、どうして彼が脳裏に現れるの?
神谷くんは、もう華乃音のモノにめでたくなったんだから、私は何も言うことなんてない。
「佳乃愛さんーー、俺のカノジョになって……、くれる?」
「……、っ」
今度は私の左手に、自分の指を絡めてくる奥森くん。
早くーー、早く『はい』って言わないと。
だけどーー、返事する直後に私の口は、震えてうまく声がでなかった。
また頭に浮かんだのはーー、神谷に強引にキスされたけど、ドキドキしたこと。
「佳乃愛さん……?」
私は思わず、顔を反対方向にぐるりと回して、片手で両目を包み込んだ。
「……うっ、つぅ」
温かい雫がポロリと落ちて、地面に染みを次々につくる。