その様子に、クラス全員が驚きの表情を浮かべていたのは、見間違いではなかった。



「あああ、あの……神谷くん、どこに行くの……っ!?」



「んー? 屋上」



そこに続く階段を上り、扉を開ける神谷くん。



神谷くんが言っていた屋上は、今の時間帯は、人ひとりいない。



「あの、神谷くん、どうしーー」



“どうしたの?”と聞く前に、神谷くんが振り向く。



入口の横、壁の前に立っている私を熱いまなざしで見つめる。



ドキリ、と心臓が思わず跳ねる私。



私に歩み寄り、ドンッと私の頭の右に手をついた神谷くん。



そして。



「好きだ。佳乃愛、俺と付き合ってくれないか」



「……、ぅ、え?」



言葉の意味を理解するまで、私の頭は数秒かかった。



「えと、冗談……、だよね。あはは……、ドッキリとかやめてよ~」



「これが、冗談言ってる顔に見えるか」



間髪入れずに、神谷くんはそう喋ったあと、私の唇に自分の人差し指を押し付けた。



「我慢できない……、していい?」