異変を察した頃にはもう遅かった。 背後にやってきただれかに後ろから羽交い絞めにされ、さっきまでうずくまっていた男の人に私の鼻と口を塞ぐように白いハンカチが当てられる。 まずい……っ。 そしてわずかな隙間から息を吸った直後、くらりと視界が揺れる。 全身から力が抜けていく。 ああ、催眠薬が布に仕込まれていたんだ。 わずかに残っていた理性でそう悟る。 そして、ぷつりと。 そこで私の意識は途切れた。