スマホを胸元に抱えながら、路地裏にさしかかる。

その時だった。

ふと前方に、うずくまっている男の人の姿を見つけた。


まわりにひとけはない。

だれにも気づかれないまま苦しんでいたのだろうか。


私はスマホをスクールバックの中にしまい、慌ててその人の元に駆け寄る。


「あの、大丈夫ですか?」


私の声に、男の人がゆっくり振り返る。

それに合わせて、背後から複数の足音が迫ってくる。