その場に立ち尽くしていると、先に湯船に浸かった琥珀くんが、ちゃぷちゃぷと自分の前のスペースを叩く。


「りーうちゃん。ここ、おいで」


それは、琥珀くんに背後から抱きかかえられるような体勢にこと間違いなしで。


抗いたい──でも、その低く艶っぽい声で名前を呼ばれると、なぜか意思の自由を奪われたように逆らえなくなる。

私は多分、どこまでいってもこの人に逆らえないんだ。


意を決し、乳白色のお湯に足を浸ける。

そして琥珀くんの腕と脚の間に収まるように、小さく縮こまって体育座りをする。


後ろから包み込まれているような距離感、そして素肌が触れ合っていることに、緊張が高まる。