ぐるぐる悩んだ末、苦肉の策でバスタオルを巻いて入ることにした。

これでなんとかごまかせる……はず。


そしていまだ慣れない広すぎるバスルームに入り、洗った髪を頭の上でお団子にしていると、不意にドアが開いた。

どきりとしてそちらに顔を向ければ、琥珀くんが入ってくるところだった。


……と、視線が思わずその上半身に釘付けになる。


しなやかに鍛えられた上半身には、白い肌とはコントラストを描く黒い縞模様。

それは刺青だった。


初めて見た刺青に、思わず一瞬身動ぎを忘れる。

すると私の視線に気づき、琥珀くんが乾いた笑いをへらりと浮かべる。


「あ、怖い? これ」

「……いえ」


あくまで無表情でそう答える。

今更刺青なんかで動揺してる場合じゃない……よね。