すると琥珀くんの右手が私の左頬に触れた。

それだけで、私の肩はびくんと跳ね上がってしまう。


「我慢してたの、自分だけだと思ってる? ずっとおまえに触れたくてたまらなかった」


どくんどくん。

甘い言葉に、鼓動が暴れるように内側から身体を叩いてくる。


「わかる? 莉羽ちゃんといれば、疲れなんて吹き飛ぶの」


そう言って再びキスをしようとしてくる琥珀くん。


このままじゃ、いつもどおり私だけが気持ちよくされて、それで終わってしまう。


唇が触れ合う寸前で、私は声をあげていた。


「じゃ、じゃあ、今日は私が琥珀くんにご奉仕します」


それは精一杯な頭で打ちだした妥協案だった。