帰ると、私と琥珀くん、ふたり分の食事がテーブルの上に並んでいた。


今夜は中華メニューらしい。

フカヒレの姿煮込みや北京ダックなど、今日も豪華なメニューだ。


とってもおいしそうだけど、疲れている琥珀くんが食べるには、少し脂っぽく胃に負担がかかるかもしれない。


私はキッチンで洗い物をしているシェフに声をかけた。


「すいません。せっかく準備してもらって申し訳ないのですが、自分でも少し料理をしていいですか?」


すると私の突然の申し出に、温厚そうなシェフが驚いたように目を見張る。


「それはもちろんですが……莉羽様がお料理を?」

「はい。琥珀くんに食べてもらいたいものがあって」

「そういうことならぜひ。食材はぜひこちらのものをご自由にお使いください」


そう言って開けられた大きな冷蔵庫の中には、食材がたっぷり。

ひととおり揃っており、これならなんでも作れそうだ。


私は少し考え、洋風粥を作ることにした。

鶏のささみとほうれん草を具に加えた洋風粥は、たんぱく質や炭水化物も摂れる、疲労回復にはもってこいのメニューだ。


長い髪をポニーテールにくくり、制服のジャケットを脱いでエプロンをお借りしてキッチンに立つ。