――これは、私が琥珀くんへの恋心を自覚した、数日後のお話。



「はあ……」


下校の車の中。

私は車窓を見つめながら、ため息をついていた。


「どうした、ため息なんてついて」


向かいのシートに座って、長い脚を組んだ東郷さんが、私のため息を拾い上げる。


無意識だった私は慌てて東郷さんを見る。


「えっ、ため息なんてついてました……?」

「ああ、思いっきりな」


うう……。

原因に心当たりのある私は、恥ずかしくなって思わずうつむいた。